極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「君は本当に俺と距離を取ろうとするよな。『セクハラはナシ』はお世辞だったのか?」

「お世辞じゃありませんよ。セクハラとは思っていません。恋人と表現するのは、さすがに失礼かと思って」

丁寧に回答すると、祇堂さんはエンジンをかけながら「ガード、固そうだな」とぽつりと呟いた。

「ガードレールが……どうかしました?」

「いや、なんでもない。こっちの話」

車が走り出す。ふと横を見ると、フラットな表情で運転する彼が間近にいて、これは……と息を呑んだ。

すごく整った顔。顔がいいのはわかっていたはずなのに、ここまで直視する機会なんてなかったから、知っているようで知らなかった。

運転中の横顔なら見放題。いや、そんなに見ては失礼かしら。それこそセクハラ?

しかも、距離が近い。気づけば密室にふたりきり。

なんだか急に動悸がしてきた。出だしから体調不良だなんて困る。

交差点の信号が赤になって、祇堂さんはゆっくりとブレーキを踏んだ。

車が停止した瞬間、ふと彼の目がこちらに向いてドキリとする。

「姿勢、もっと楽にしてて。疲れるだろ?」

「あ……そう、ですね」

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