極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
彼はすかさず腰に手を回し、私を抱き支える。

「申し訳ないって言われるより、嬉しいって言われる方が俺も嬉しい」

頭の上でそう囁く。

当然だ。親切をしたら「ごめん」より「ありがとう」と言われた方がいい。

慇懃無礼になっていたのだと気づき、私はこくんと空気を呑み込むと、気持ちを切り替えて彼の目を見つめた。

「ありがとうございます。……嬉しいです、とても」

「こちらこそ。エスコートさせてくれてありがとう」

百合の花のように上品な笑みをたたえながら、彼は私を助手席まで丁寧に案内する。

「祇堂さん」

「ん?」

運転席に回り込んだ彼と目線を交わらせる。彼の真っ直ぐな眼差しを受け止められている自分に気づき驚く。

ううん、ちょっと違うな。

彼を見つめていたい気持ちが膨れ上がっているんだ。彼には人を惹きつける魅力がある。

「どうかした?」

私に視線を向けながら、シートに腰を下ろし、慣れた仕草でシートベルトを引く。ハンドルに片手を置いてシフトレバーに触れた。

ナチュラルな微笑とスマートな身のこなしに胸が高鳴る。

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