極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
桃野さんがもう片方の手を壁につく。バンッという大きな音が鳴って、痛くないのかしらと心配になった。
「あんまり調子に乗ってると、部長にお願いして飛ばしてやるわよ」
私の襟もとを掴んで脅すように言い放つ。
桃野さんが部長に気に入られているというのは有名な話。彼女は見た目が華やかで広報向きなのはもちろんだが、仕事もそつなくこなす優秀な社員だ。
彼女がお願いすれば、私は本当に異動させられてしまうかもしれない。
なにしろ桃野さんは入社五年目のベテラン広報。まだ三年にも満たない私が敵う相手ではない。
「それは……困ります」
第一志望の会社に入社し、せっかく希望の広報部に配属されたのに、夢半ばで飛ばされてしまうのは嫌だ。
「困るんだったら、大人しく言われたことだけやってなさいよ!」
彼女がそう声を荒げたとき。
給湯室の外で見張りをしていた女性社員が「桃野さんっ!」と声をあげ駆け込んできた。
「なんなのよ!」
苛立った声をあげる桃野さんに、女性社員は外を指さし、慌てた様子でパクパクと口を開閉する。
間を空けず、ゆったりとした足音が近づいてきて、給湯室の手前で止まった。
「あんまり調子に乗ってると、部長にお願いして飛ばしてやるわよ」
私の襟もとを掴んで脅すように言い放つ。
桃野さんが部長に気に入られているというのは有名な話。彼女は見た目が華やかで広報向きなのはもちろんだが、仕事もそつなくこなす優秀な社員だ。
彼女がお願いすれば、私は本当に異動させられてしまうかもしれない。
なにしろ桃野さんは入社五年目のベテラン広報。まだ三年にも満たない私が敵う相手ではない。
「それは……困ります」
第一志望の会社に入社し、せっかく希望の広報部に配属されたのに、夢半ばで飛ばされてしまうのは嫌だ。
「困るんだったら、大人しく言われたことだけやってなさいよ!」
彼女がそう声を荒げたとき。
給湯室の外で見張りをしていた女性社員が「桃野さんっ!」と声をあげ駆け込んできた。
「なんなのよ!」
苛立った声をあげる桃野さんに、女性社員は外を指さし、慌てた様子でパクパクと口を開閉する。
間を空けず、ゆったりとした足音が近づいてきて、給湯室の手前で止まった。