極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
ううん、そんなわけない。彼のように素敵な人が私を好きになる理由がない。

どこまで真に受けていいの?

「……とんでもない。私も祇堂さんを……尊敬しています」

「今、どうして『好き』って言葉を使ってくれなかったの?」

動揺し目が泳ぐ。『好き』を使わなかった――使えなかったのは、自分に自信がないからだ。

私の『好き』と祇堂さんの『好き』は、別物かもしれない。彼を困らせたくない。

「尊敬ってことは仕事上、慕ってくれているってことだよね。男としては興味がないって言われたみたいで傷つくなあ」

彼が苦々しい表情で呟く。

私はシャツの裾を掴んで、咄嗟に「違います!」と声をあげた。

「その……社長としての尊敬も、もちろんですけど、私は……」

優しい祇堂さんが好き。そんな簡単なひと言がどうして声に出せないのだろう。

思えば、これまで誰かに好意を伝えた記憶がない。

『ありがとうございます』『助かります』『嬉しいです』そんな感謝の言葉を使う機会ならたくさんあったのに、どうして『好き』だけが言えないのだろう。

「……す」

「す?」

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