極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
ふと想いを告げ合った一件を思い出し、ほんのり頬が熱くなってくる。

好きな人ができるなんて思わなかったし、その人が私を好きになってくれるとも思わなかった。こんな奇跡があるなんて。

やっぱり長生きはするものね、と歳に似つかわしくない感動を覚える。

とはいえお互いの気持ちを確認したはいいが、この先、彼とどんな付き合い方をしていけばいいのだろう?

交際しようという話も出ていない。今、私たちは友だち以上――いや、秘書以上恋人未満といったところか。

どんな顔をして、どんな言葉で向き合っていこう。

いきなり慣れ慣れしくするのも違うだろう。かといって、普段通りに接するというのも寂しい気が。

祇堂さんと、もっと近づきたい――。

そんな欲深い思いを抱えて戸惑っていると、彼がにっこりと微笑みかけてきた。

「食事を堪能したし、あとは露天風呂かな。一緒に入る?」

「っ――」

予想を超えた向き合い方を提案され、ほうじ茶をむせそうになる。

次のステップを考えてはいたけれど……キスすら未遂で終わっているというのに、いきなり裸の付き合いから始めるの?

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