極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「今、物音やら怒声やら聞こえた気がしたけれど、なにかあった?」
柔らかく伸びやかな声がして、すらりと背の高い男性が給湯室に入ってくる。
今しがた話に挙がっていた祇堂さんだ。桃野さんは慌てて私の襟もとから手を離し姿勢を正した。
「祇堂さん、お疲れ様ですぅ」
なにごともなかったかのように、にっこりと笑顔を作る。
応えるように祇堂さんも上品に微笑んだ。
「お疲れ様。もしかして、なにかトラブル? 襟を掴んでいるように見えたけど――」
「いいえ、とんでもない! ゴミがついていたので取って差し上げてただけですよぉ」
桃野さんが手早く私の襟もとをパンパンとはたき整える。
「ならいいんだ。それと美守さん。今朝の件で話がしたいんだけど、今、時間取れる?」
「あ、はい!」
祇堂さんに手招かれ、私は「失礼します」と桃野さんたちに頭を下げた。
桃野さんは最初はにこにこと手を振ってくれていたけれど、祇堂さんの姿が見えなくなった途端、チッと舌打ちする。
美人が台無しなのでは?と気を取られていると、再び祇堂さんから「美守さん」と呼びかけられ、急いで給湯室を出た。
柔らかく伸びやかな声がして、すらりと背の高い男性が給湯室に入ってくる。
今しがた話に挙がっていた祇堂さんだ。桃野さんは慌てて私の襟もとから手を離し姿勢を正した。
「祇堂さん、お疲れ様ですぅ」
なにごともなかったかのように、にっこりと笑顔を作る。
応えるように祇堂さんも上品に微笑んだ。
「お疲れ様。もしかして、なにかトラブル? 襟を掴んでいるように見えたけど――」
「いいえ、とんでもない! ゴミがついていたので取って差し上げてただけですよぉ」
桃野さんが手早く私の襟もとをパンパンとはたき整える。
「ならいいんだ。それと美守さん。今朝の件で話がしたいんだけど、今、時間取れる?」
「あ、はい!」
祇堂さんに手招かれ、私は「失礼します」と桃野さんたちに頭を下げた。
桃野さんは最初はにこにこと手を振ってくれていたけれど、祇堂さんの姿が見えなくなった途端、チッと舌打ちする。
美人が台無しなのでは?と気を取られていると、再び祇堂さんから「美守さん」と呼びかけられ、急いで給湯室を出た。