極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
困惑していると、彼がくすくすとどこか申し訳なさそうに笑った。

「ごめん、冗談だよ。好きなときに入って。俺はもう少し休憩してからにするから」

そうよね、と波立つ心を落ち着かせる。この優しくて気遣い上手な彼が、そんなにぐいぐい来るわけないもの。

「じゃあ、お先にお風呂、いただいちゃいますね」

「ごゆっくり」

私はそそくさと和室を離れ、寝室に着替えを取りに行く。

それにしても、表情ひとつ変えずに冗談を言うのね……。

動揺していっぱいいっぱいな様子すらかわいいとでも言いたげな顔で、私をにこにこと見つめていた。

気持ちが通じ合った途端、足もとを見られて遊ばれてしまうなんて。彼はちょっぴり意地悪な一面があるのかもしれない。

想いを伝え合った以上、これから彼の意外な一面をたくさん見ていくことになるのだろう。

サロンの隣にある引き戸を開けると洗面所や脱衣所があって、その先に浴室がある。さらに外へと繋がるドアがあり、露天風呂へと繋がっている。

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