極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
運んでも目を覚まさないくらいに深く寝入っているようだ。

風呂に浸かりながら気を失っていたときもそう。あれはまずかったと今思い出しても背筋が冷える。

きっとあのまま湯舟に顔がついても、気づかず眠っていただろう。駆けつけるのが間に合って本当によかった。

「また疲れさせてごめん」

どうかゆっくり眠ってくれと祈りを込めながら、彼女をベッドに寝かせる。

明日に疲れが残らないといいんだが。

「遊んだあとは、いつも熱を出していたよな」

はしゃいだ翌日は決まって熱を出していたと思い出す。伯父から「あまり無理をさせないでくれ」と注意されたこともあったっけ。

明日は早めに家に帰してやった方がよさそうだ。

仕事だとでも理由をつけて、早々帰路につこう。

「早く治療薬を開発してやりたいが……」

社長という権力を使えば、資金をつぎ込んで開発を速めるのも不可能ではないだろう。

とはいえ、ただでさえ貢献の意味合いの強いオーファンドラックの開発を強行すれば反発を招く。会社のためにも彼女のためにもならない。

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