絶交ゲーム
あんな風に大金が月に数回転がり込んでくれば、父親みたいに勤勉に働く必要だってなくなるはずだ。
一月の大半を遊んで暮らすほうがいいに決まっている。


「その気持はわかるけど、失敗したら私達がクラスからイジメられるようになるよ?」


もしかしたら詩子はここ最近それをずっと気にしていたのかも知れない。
私達がしていることがバレれば、たしかにクラス内での立場を失ってしまうだろう。


「学校にいられなくなったって、外でゲームをすればいいだけだよ」

「雛、それ本気で言ってる?」

「もちろん。だって私達に必要なのはゲームで成功するための人間関係だけだもん。自分がイジメられるようになれば、学校に来なければいいだけの話でしょう?」


いい大学にいい会社。
そんなものは関係ない。

それならいっそ、今通っている学校だって関係ないということになる。
詩子は私の意見にうつむいてしまった。

その格好のままで左右に首を振る。


「私はまだ、そんな風には思えないかな。いくらゲームで大金を稼げても、やっぱり高校くらいは出ておきたい」
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