絶交ゲーム
「で、でも、豊は今日もお見舞いに行くんでしょう?」

「あぁ、俺は行くけど……」

「す、少しだけ顔を見たいだけなの。一緒に連れて行ってくれないかな?」

「……じゃあ、浩二に聞いてみるよ」


豊が諦めたようにスマホを操作しはじめる。
浩二に連絡を取ってくれるみたいだ。

私は胸の前で両手を握りしめたり、離したりして時間を持て余す。
浩二に会えばなにがどうなっているのかわかるかもしれない。

この動かない友情を動かすことができるかもしれない。


「少しくらいなら大丈夫だって」

「本当に!? ありがとう、じゃあ放課後にね」


私は引きつった笑みを無理やり浮かべて約束を取り付けたのだった。
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