絶交ゲーム
☆☆☆

教室へ戻ると詩子も戻ってきていた。
私はすぐに詩子の席へと駆け寄る。

まだ心臓がドキドキしていた。
人に嘘を吹き込むなんて、それも最低な嘘を吹き込むなんて初めての経験だった。

我に返ったときには洋子の姿がなくて、そこで初めて自分が緊張していたことに気がついた。
手のひらには汗が滲んで、心臓が早鐘を打っていたのだ。


「大丈夫だった?」


詩子に聞かれて私はどうにか頷いた。
気持ちが高ぶっていて、体が震えてしまう。


「こっちもうまく行ったよ」


私が洋子を呼び出している間に、歌子は玲香を別の場所に呼び出していたのだ。

そして『洋子が言ってたの聞いちゃったの。玲香は私にとってただのお飾り、あんなのただの男好きだよって……』と、伝えているはずなのだ。


「あのときの玲香の顔、雛にも見せてあげたかったなぁ」
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