絶交ゲーム
次の手段
寝不足のぼーっとした頭で教室へ入ると弥生と結が向き合って話をしていた。
昨日の反省文ですべて終わったはずだけれど、仲直りでもするつもりなのかもしれない。
私は大あくびをして自分の席につく。
ホームルームが始まるまでにまだ時間があるから仮眠を取るつもりだったのに、弥生が声をかけてきた。
「雛、結に謝ろうよ」
顔をあげて私は弥生と、隣にいる結を交互にみた。
やっぱり仲直りをしたんだろう。
結はまだぎこちない様子だけれど、謝罪をした方の弥生はスッキリした顔をしている。
悪いことをして謝って、自分だけ先に気分が良くなっているなんて身勝手な話だと思う。
結の顔をちゃんと見ているんだろうか。
「結はまだ複雑そうだけど?」
そう言うと結はビクリと体を跳ねさせた。
「わ、私は……これからまた仲直りできればいいなって思ってるから」
そういう声だって緊張しているのがこっちにまで伝わってくる。
散々イジメておいて自分の都合とタイミングで謝罪してくるなんて自己中心的にもほどがあるのに、結は必死でそれを受け止めようとしている。
あるいは、まだ弥生のことが怖いから断れないだけかもしれない。