絶交ゲーム
それは盲点だった。
浩二と豊の絶交が終わっていないのに転校されると、私はますます動きにくくなってしまう。


「それはいつですか?」


私は手を上げて質問していた。


「難波くんが退院して、1度こっちへ顔を出す予定ですが、その後は新しい学校へ行くようです」


退院後すぐってことか。
手術をしてからすぐに退院することはないだろうから、まだ時間はありそうでひとまずは安心だ。

でも、その間に浩二が学校へ来ることはないから、自分から浩二に会いに行く必要がある。
そしてなんとしても豊との関係を引き裂くんだ。

私は親指の爪をガリッと噛んだ。
血が出てきたのか口の中に鉄の味が広がっていく。

とにかく、今日は病院へ行ってみよう。
なにか手を打たないといけない。

そんな私を詩子が不安そうな顔で見つめていたのだった。
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