絶交ゲーム
☆☆☆
1人で浩二のお見舞いに行く前に、学校の売店に立ち寄った。
ここは部活動をしている生徒のために遅くまで開いているのだ。
そこで私は手作りクッキーを手にとった。
50代のおばちゃんが作っているクッキーで、ウサギとか猫とか可愛い形をしている。
「これ、ください」
「はい。300円ね」
お金を支払ってクッキーをカバンに入れる。
それからコンビニで可愛らしいナイロン袋を購入すると、クッキーを入れ替えた。
これでどこからどう見ても私が作った手作りクッキーだ。
準備が整ってから鼻歌交じりに病院へ向かう。
制服姿で院内を歩くと少し目立つけれど、ひと目は気にしないことにした。
一度トイレに入って鏡で身なりを整える。
普段はあまりつけない色付きのリップを薄く塗った。
鏡の中で微笑む私の準備は万端だ。
浩二が入院している部屋の前で呼吸を整えてからノックする。
中から「はい」と短い返事があり、私はドアを開けた。