絶交ゲーム
☆☆☆

翌日の病室内は険悪なムードが漂っていた。
この重苦しい空気の原因がなんなのか、わかっていないのは豊だけだ。


「豊。本当のことを話してくれ」


浩二がベッドの上から真剣な視線を豊へ向ける。


「あぁ。なんでも話すよ? 今日は突然呼び出してどうしたんだよ」

「そのとこなんだけど……お前、雛ちゃんになにかしたか?」

「雛ちゃんに?」


豊の視線がこちらへ向いたので私は怯えたふりをして視線をそらせた。
ついでに自分の体を抱きしめる。


「別に、なにも?」


豊は首を傾げている。
その仕草が浩二には嘘に見えたようだ。


「じゃあどうして雛ちゃんはこんなに怯えてるんだよ!」


浩二が声を荒げることで、豊は更に混乱している様子だ。
無理もない。

豊はなにもしてないのだから。
でも、と、思う。
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