絶交ゲーム
「あ、歌子!」


校門前まで来たところで前方から詩子が歩いてくるのが見えて、片手を上げた。
詩子は少し戸惑ったように視線を彷徨わせたけれど、小さく頷いて近づいてきた。


「ここで会うの久しぶりだね」

「うん……」


詩子は相変わらず口数が少ない。
私が視線を合わせようとしてもそらされてしまう。


「ねぇ、詩子に朗報だよ」

「なに?」


聞いてくる詩子に私は電子マネーを見せた。
100万という数字を理解するのに時間がかかっているのか、しばらく首を傾げて、それから私へ視線を向けた。


「絶交が成功したの」


私は胸を張って、昨日の出来事を詩子に話した。


「雛、それはまずいよ。豊くんを犯罪者にしたってこと?」

「そうだけど、それがなに? 被害者は私だから、訴えなければいいだけでしょ?」

「そんな……」


詩子はまだなにか言いかけて、諦めたように口を閉じた。
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