絶交ゲーム
☆☆☆

人の縁を無理やり切るなんて本当は大変なことなんだ。
簡単じゃない。
切れたと思っても本当はどこかでつながっている。

絶交なんて日常的にできることじゃない。


「山田くん、ちょっといい?」


昼ご飯を終えて教室へ戻ってきた私は、弥生と結と同じ中学に通っていた山田くんに声をかけていた。
山田くんはとても大人しい生徒で、あまり誰かと会話しているところを見かけない。

常に1人で机に座って本を読んでいるイメージだ。
成績はいいらしいけれど、それを自慢しているところも見たことがない。


「え……?」


声をかけられるとは思っていなかったのだろう、山田くんは文庫本から顔を上げると視線を泳がせた。


「山田くんに話があるんだけど」


できれば弥生と結のふたりが教室のいない今のうちに話をしてしまいたくて、少し苛立つ。
山田くんはいつも1人でいるから、かなりマイペースな性格をしているみたいだ。


「な、なに?」
< 88 / 290 >

この作品をシェア

pagetop