絶交ゲーム
ようやく自分に話しかけられていると理解したみたいで、私と視線を合わせた。
でも、それもほんの一瞬だ。
すぐに視線を落として自分の手元を見つめている。


「あのさ、山田くんって弥生や結と同じ中学だったんでしょ？」


その質問に山田くんは無言で頷いた。
普通に聞いているだけなのに、なんだかイジメているような気分になってきてしまう。


「あのふたりって、昔から仲良かったの？」

「うん。中学１年生の頃から一緒にいたかな」

「そっか、それじゃ付き合いはかなり長いね」


だからそう簡単に縁が切れることもないのだ。
玲香たちと比べれば倍くらいの長さを一緒に過ごしていることになる。


「弥生や結ってどんな関係なの？　なんでもいいからふたりのことを知りたいんだけど」


早口で質問すると山田くんはのんびりと空中を見つめた。
思い出してくれているのか、考えてくれているのか。

とにかく動作が遅くてこちらは焦ってきてしまう。
< 89 / 290 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop