絶交ゲーム
今のところふたりが教室へ戻って来る気配はないけれど、早くしてくれないか。


「河野さんは子供の頃からピアノを習ってる。高田さんはああ見えてスポーツが得意だった」


たったそれだけ!?
休憩時間を割いて得られた情報は、情報とも言えないようなものだった。

弥生が吹奏楽部に入っていることは知っているし、結の運動神経がいいことだって体育の授業が同じなのだからわかっている。


「他にはなにかない?」

「さぁ……。僕はあまりみんなと仲良くしないから、よくわからないけど……」


そう言うと、会話が終わったと思ったのかまた文庫本を読み始めてしまった。
私は深い溜め息をついて山田くんを見つめる。

これだけの情報じゃどうにもならない。
でもこれ以上山田くんからなにか得られるとも思えなかったのだった。
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