オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「さっきからキミの身体から甘い匂いがするんだよねぇ」
「キミ、アルファでしょ?オレらとヤらない?」

「いやっ……!」

やっぱり気付かれてた。でも甘い匂いがするって?もしかして自分でも知らないうちに発情してるんじゃ……!

「俺の彼女に何か用ですか?」

「は?」


「聞こえなかったならもう一度言うよ。
汚い手を放してもらえる?」

「す、すみませんでしたぁぁぁ!」


「……漣、さん」

今の声は本当に漣さん?

今まで聞いたこともないような低い声。正直別人レベルだ。いつもは優しい声で話すから、少しだけ怖いと感じた。

「九条さん、遅くなってすみません。
お怪我はありませんか?」

「大丈夫です。
助けてくれてありがとうございます」

「どういたしまして」


さっきのは気のせいだったのかな?

普段の漣さんに戻ってる。

「それではデートに行きましょう。エスコートしますよ、お姫様」

「っ……お願い、します」

やっぱり男女で出かけるのはどう考えてもデートだよね。そう思った瞬間ドキドキが止まらなくなった。

でもお姫様なんて言われるほど可愛くはないのに、漣さんには私がどう映っているんだろうか。

☆ ☆ ☆

「アイツに言われた通り女をナンパしたが、報酬はちゃんとくれるんだろうな」

「アイツは金も持ってるし大丈夫でしょ」

「でも女のほうは可哀想だよな〜。アイツの本当の性格を知らないわけだし」

「いつか嫌でも知ることになるさ」
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