オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「ケーキの食べ放題にしてみたんですけど、どうですか?」

「でも、ここは私なんかが入れるお店じゃ……」


「大人二人で予約していた漣です」

「こちらの席にどうぞ」


「行きましょう九条さん」

「は、はい」

店員さんには少し睨まれてしまったが、漣さんが手を引いてくれるから安心してしまった。


「女性は甘いものが好きだと仕事仲間から聞きまして。女性と交際したことがないので上手くエスコート出来てるか不安です」

「エスコートはバッチリだと思います!」


「ははっ。それは良かった」

「っ……」

声を大にして伝えたから、漣さんに笑われた。
漣さんの笑顔はやっぱり綺麗だ。


「ケーキ以外にもチーズフォンデュやグラタンなどもありますので、九条さんが食べたいものをどうぞ」

「ありがとうございます」


この店の支払いに関しては自分が払いますと付け加えられた。やっぱり紳士だ。これで今まで彼女がいなかったとか嘘でしょ……。

漣さんは何から何まで完璧だけど、オメガだったというのが障害になって恋人が出来なかったに違いない。
それ以外に漣さんに不安要素なんてないのだから。
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