オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「昨日はたくさんヤッたから、きっと疲れてるんでしょう。ベッドに運びますね」

「私、重いので大丈夫です。一人で歩け……きゃっ!?」


「駄目です。転んで怪我でもしたら大変ですから。俺のいうことを聞いてください。ねっ?」

「は、はい」

ここは大人しく聞いておこう。そう思うくらい、眠気は強い。漣さんの言う通り、私ってば疲れてるのかな?


運ぶときにお姫様抱っこなんて……。

お姫様抱っこしてもらう年齢でもないけど、女の子扱いされるのは素直に嬉しい、な。


「九条さん、おやすみなさい」

「おやすみなさい、漣さん。でも一つだけ聞いてほしいことがあります」


「なんですか?」

「昨日みたいに私の名前を呼んで、ほしい、です」


「わかったよ、美怜。君は本当に可愛いね」

ーーーチュ。っと、おでこにキスをされた。


「王子が眠り姫を見て一目惚れする理由、今ならわかる気がするよ」

「ふぇ……?」

意識が朦朧としてる私に漣さんがなにか呟いている。


「どこにも逃がさないよ、美怜。
君は俺だけのモノだから」

「……」


漣さんが最後に何か重要なことを言っていたようだけど、意識を失った私には聞こえなかった。

恐ろしい、呪いの言葉。それはこれから先、私を苦しめることになるなんて……。
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