オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「美怜!久しぶり~!!」

「未来……」


茶髪に染めた未来はなんだか別人みたいで、だけど幼い顔は変わらずで。昔に戻った気がする。


そういえば、未来はアパレル系に勤めてるって前に連絡あったっけ。


「美怜ってば少し痩せた?ちゃんと食べてる?」

「食べてるよ。そういう未来こそチャラいよ」


「チャラくないって。このくらい明るい髪色にしてないと会社では浮くの~」

「そういうものなの?アパレルって大変だね」


「そうそう。美怜こそお役所勤めはどう?やっぱ朝から理不尽にクレーマーしてくる暇なオジサンとか来るわけ?」

「それもあった、かな」

「あった……?どういうこと??」


近くにあったカフェに入り、私たちは女子トークをしていた。

やっぱり、未来には話しておこう。隠したままは嫌だし、そもそもアルファがオメガの下になったんだからいつかはバレる。散々、ニュースでも取り上げられてたし。

今となってはそれが当たり前のように世界は動いている。けれど、アルファたちは今でもギリギリの生活をしている。誰も助けてはくれない。私は救いの手が差し伸べられただけ奇跡だ。


私は未来に今までのことを話した。アルファが最底辺になり、上司から会社をクビにされたこと。そして拾われて番と同棲していること。養われて仕事をしなくていいと言われていること。

それと、気になっていること。最近は夜の同じ時間に眠気が襲ってくること、全部を包み隠さず話した。親友に話すくらい、漣さんだって怒らないはず。
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