オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
ピピピピピ。

「私のスマホ……。あれ?未来から?」

夕食作りの最中、未来から電話がかかってきた。漣さんは自室で残った仕事を片付けていた。


「もしもし?未来、どうしたの??」

『美怜、よかった!今すぐそこから逃げて!行くところないなら私の家に住んでいいから。とにかく、今はその家から逃げることを最優先にして!』


「……え?」

突然、未来からそんなことを言われて驚いた。あまりにも未来が焦っていたから。


『漣剛士って人、ネットで調べたら出たのよ!彼、アルファ研究所ってとこに勤めてて、彼らを奴隷のように……』


ーーーボチャン。


「未、来?」

「美怜さん、駄目じゃないですか。夕食作りの途中に電話なんて」


「漣さん……」

私は恐怖を覚えた。だって、私のスマホは取り上げられるどころか、目の前にある水槽に水没させられたから。漣さんの行動に、私は開いた口が塞がらなかった。
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