オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「これからは俺以外と連絡は禁止」

「未来が言ってたんですけど、漣さんはアルファ研究所っていうところに勤めてるって……」


最後に恐ろしい単語が聞こえたような気がしたけど、それよりも今は目の前にいる漣さんのほうが怖かった。


「そんなの、嘘に決まってる。だって、俺はカウンセラーですよ?」

「証拠はあるんですか?働いてる社員証とかそういうの、見せてくれたり……」


「あ?」

「っ……!ご、ごめんなさい」


「怖がらせるつもりはないんだよ。君は俺だけのモノだから。怖い思いをしたんだね、よしよし」

「もう大丈夫です。漣さんが撫でてくれたので安心しました」


「そう?それなら良かった」


今は漣さんの言うことに従っておこう。本能がそう言っていた。

本当はここから今すぐにでも逃げ出さないといけない。けれど、恐怖で足がすくみ、動けない。連絡手段はなくなった。もう、助けを呼ぶことはできない。
< 35 / 50 >

この作品をシェア

pagetop