オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「スマホが壊れたから次から外に出る時は、これで連絡して?俺のサブスマホ。俺にだけにしか連絡出来ないように設定してあるから」

「はい……」


それは、つまり他の人に助けを呼ぶなということ。
未来に何かされたら、たまったもんじゃない。私だけが我慢すればいいんだ。


「ほら、美怜。君の好きなハチミツ入りの紅茶だよ。これを飲んだら今日もぐっすり寝れるよ」

「ありがとうございます。漣さん」


この紅茶には何かが入ってる。毒だと、とっくに死んでいる。だから、それじゃない、なにかだ。

飲むことを断れない。だって、漣さんの目は殺意で満ち溢れていたから。

私は大人しく従って飲むことにした。そして、いつものように、ぐっすり眠ってしまった。朝まで一度も目を覚ますことなく……。

☆   ☆   ☆

「……ん」

昼。目が覚めるといつもの天井だった。漣さんは朝から仕事だった。

未来が言っていたアルファ研究所っていうのはなんだろう?それに漣さんがそこに勤めていたとしたら、カウンセラーの仕事は?私に嘘をつく理由はなに?
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