オメガがエリートになり、アルファが地に堕ちた世界
「不思議に思わなかったのかい?ここ1〜2年で世界が大きく変わるなんて。オメガが神に願ったくらいで世界が変わるなら、最初からそうなってる。
俺がしたのさ。アルファ研究所に侵入して、彼らの記憶を俺の得意な心理学で操り、アルファは最下層の者だと広めさせた。そうしたらさ、世界は簡単に変わってくれた!」

「……」

言葉が出なかった。今まで疑問に思っていたことがすべて解決する。だけど、それは聞きたくなかった真実。漣さんの本性が嫌でもわかってしまうから。


「アルファが憎いなら、どうして私を抱いたりしたんですか!?」

それがどうしても許せなかった。アルファオメガ関係なく仲良くなりたいという、彼の言葉は嘘だったの……?

漣さんの言葉には偽りしかないの?


「君のためだよ、美怜」

「私の……ため?」


「俺が君に惚れてるのは本当だよ。だから、君を最底辺に落とした。人は絶望し、どん底に落ちたとき、誰かに優しく手を差し伸べられたら惚れる。そんなの、心理学では常識だろう?」

「それだけのために世界を変えたっていうんですか!?」


「そうだよ。俺は1人の愛する女性のために世界を変えた。自分が怪我をするかもしれないのにさ。危険を犯してまで、アルファ研究所に忍び込んだ。むしろ褒めてほしいくらいだね」

「そん、な……」


「元の世界なら俺は最下層だし、君には見向きもされない。けれど、立場が逆転したらどうだろう?そうすれば君は俺を頼るだろう?」

「もう聞きたくない……っ!」

聞けば聞くほど、漣さんのしたかったことは私利私欲に溢れていて、身勝手な欲望。私と出会うためだけに世界を変えて、私は最底辺に落とされ、差別され、好きでもないケモノたちに襲われたっていうの?
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