【シナリオ版】セーラー服を脱ぐ前に〜脅迫されて 溺愛されて〜【小説版連載開始につき更新停止しています】
第二話
〇マンション(夕方)
洗練された調度のリビング。
最新型のキッチン。
既に荷物が運び込まれている公子の部屋。
難しそうな本で埋め尽くされている真紘の書斎。
天蓋付きのキングサイズベッドが置かれている寝室――
新居の部屋をそれぞれ見て回る公子と、その後ろをついて歩く真紘。
〇寝室(夕方)
真紘「天蓋付き!初めて見ました」
ちょっと興奮気味の真紘と青ざめている公子。
真紘「社長の趣味ですか?意外ですね。公子さんはずっとこんなベッドでお過ごしだったんですか?」
公子「普通のベッドよ!」
公子(こんな物買うなんて――しかも、この家これしかベッド置いてないじゃない!)
ベッドに腰掛ける真紘。
そのまま横になり、自分の隣をポンポンと叩く。
真紘「一緒にどうです?寝心地いいですよ」
公子「お断りします!」
赤くなりならが寝室を出ていく公子。
真紘はウブな反応が可愛くて仕方がない様子で、笑いながら後ろ姿を見送っている。
○リビング(夕方)
公子(最悪だ……まさかここまで急速にコトが進むなんて)
リビングのテーブルで頭を抱えている公子。
その前に、真紘が紅茶のティーカップを置く。
真紘「そう思い詰めないでくださいよ。公子さんの嫌がることはしませんから」
紅茶の香りに公子の表情が和らぐが、すぐに真紘を睨む。
公子「結婚は嫌がることじゃないんですか?」
真紘「おや、お嫌でしたか?ご自身で婚姻届にサインされたと思いましたが」
公子「脅迫されてね」
真紘「どこに脅迫がありましたか?意に沿わぬ結婚と言うのなら、いつでも離婚に応じますよ」
ひらりと紅茶の隣に白紙の離婚届が出される。
ぐぬぬと悔しそうな顔をする公子。
公子(お祖父様の援助は欲しい――)
(奨学金とかバイトとか、自力でどうにかする術がないわけじゃない。でも)
(好きなだけ夢に邁進できる今の環境は手放し難い)
離婚届ではなく紅茶を手に取り、一気に飲み干す公子。
公子「そうよ!私が望んだ結婚よ」
ティーカップを机に叩きつけるように置き、声高らかに言う。
公子(これだけ恩着せられて、お祖父様の駒にされるのはわかりきってたことじゃない)
(思ったより早く政略結婚が来ただけよ)
自分を納得させ真っ直ぐに真紘を見つめる公子に、真紘は満足そうににっこり笑う。
真紘「では、両性の合意の基の結婚ということで、お祝いしましょうか」
キッチンの方から何かを持ってくる真紘。
花嫁花婿のマジパンが乗った、小さなウエディングケーキだった。
真紘「ケーキ入刀します?」
公子「しません!」
ナイフを手に真紘が問うが即答する公子。
真紘「じゃあ、先に食事にしましょうか。ここでシェフ並みの腕前でも披露出来れば格好がつくんですが、残念ながらお惣菜です」
とはいうものの、盛り付けにセンスを感じる料理がテーブルに並ぶ。
真紘「ノンアルコールですので、ご安心を」
ポン、とノンアルコールシャンパンの栓を抜きグラスに注ぐ真紘。
流れるような動きに見惚れてしまう公子。
真紘「僕と食事を共にするのも、お嫌ですか?」
公子「料理に罪はありませんから」
姿勢を正し、食事する意思を見せる公子。
真紘「それはよかった」
真紘はにっこりと笑うと、公子の向かいの席に座る。
真紘「僕たちの結婚と、公子さんの合格を祝して」
乾杯する真紘に、公子は固い表情ながらも応じる。
真紘「噂には聞いていましたが、公子さんは本当に優秀なんですね」
公子「お金と時間を勉強に全振りしただけよ。そのお陰で、こんなことになったわけだけど」
真紘「なるべく不利益は被らせませんから。今まで通り家事は全て家政婦さんが通いでしてくださいますし、主婦業を課す気はありません。これまで通り勉学に励んでください」
公子「その代わり、夜の相手はしろと?」
公子の言葉に、シャンパンを口にしていた真紘が噴出しかける。
真紘「失礼」
汚れた口元を拭いて、仕切りなおす真紘。
真紘「社長には申し訳ないですが、僕は弁護士ですからね。法に触れるようなことは出来かねます。夫婦間であっても、同意なき性行為は犯罪です」
公子「そうなの?」
真紘「もちろんです。寝室は公子さんが使ってください。僕はソファーで寝ますから」
真面目な顔をして頷く真紘。
真紘「僕としては、なるべく公子さんの生活を邪魔する気はないんですよ。名前も公子さんは蓬莱のままですし、結婚したことなどいくらでも隠し通せます」
公子「本田公子になってないの?」
真紘「そちらも凄く魅力的ではありますが、婚姻届けは妻の姓の方にチェック入ってます。僕が蓬莱真紘です」
公子「画数多くて大変そうね」
真紘「確かに。公子さんの名前は、苗字とバランスの取れたいいお名前ですね」
公子「ありがとう。お父様がつけてくれた名前なの」
少し朗らかな空気が二人の間に流れる。
公子(天国のお父さんとお母さん……今のこの状況どう思ってるんだろう。お父さんとお母さん、お祖父様の反対押し切って結婚したぐらいだし、お祖父様のこと呪い殺さなきゃいいんだけど)
小さくため息をつく公子。
公子「男児を産めってことは、結局お祖父様が欲しいのは蓬莱グループの跡継ぎでしょうから、婿入りも当然か」
顔を上げて、真紘を真っ直ぐに見る公子。
公子「本田さんが欲しいのは、財産?」
ストレートな物言いに、真紘は苦笑いをする。
真紘「手厳しいなぁ。僕が欲しいのは公子さんの心だって言ったら、信じます?」
公子「信じない」
即答する公子。
真紘「姓も一緒になったことですし、本田ではなく『真紘』とお呼びください。公子さん」
真紘にまっすぐに見つめられ、少したじろぐ公子。
公子「真紘……さん」
真紘「はい、なんでしょう?」
公子「試しに呼んでみただけよ!」
真紘「ありがとうございます。公子さんに呼んでもらえると、自分の名前が一層特別なものに感じられますね」
優しく微笑む真紘から気持ちをそらすように、食事を口に運ぶ公子。
公子(なんか、調子狂う……)
〇リビング(夜)
真紘「お先にすみません」
シャワーを浴びてきた真紘がリビングに戻ってくる。
上半身裸で眼鏡を外しており、髪はまだ濡れており肩にタオルをかけている。
昼間とは違う雰囲気に、ドキッとする公子。
公子「早く乾かさないと、風邪ひきますよ」
真紘「ありがとうございます。心配してくれるんですね」
そっぽを向きながら言う公子に、真紘は目を細めて変な顔をしている。
公子「……見えてます?」
真紘「見えてないです」
眼鏡をかけていないため視界が悪く、そのせいで目つきが悪くなってしまっている真紘。
公子「よっぽど悪いんですね」
真紘「ええ、0.1ないので」
応えながら、公子との距離を詰める真紘。
真紘「ああ、これでようやく――――ピントが合った」
公子に顔を寄せて真紘は笑うが、ほぼキスでもしそうな距離に公子は赤くなって硬直している。
真紘「キスしてもいいですか?」
見透かしたように笑う真紘を、公子は突き飛ばす。
公子「ダメです!」
公子は洗面所へ逃げていく。
それを見送った真紘は、タオルで顔を覆う。
その顔は、公子に負けないぐらい赤くなっている。
真紘「どうやって、理性持たせたらいいんでしょうね……」
洗練された調度のリビング。
最新型のキッチン。
既に荷物が運び込まれている公子の部屋。
難しそうな本で埋め尽くされている真紘の書斎。
天蓋付きのキングサイズベッドが置かれている寝室――
新居の部屋をそれぞれ見て回る公子と、その後ろをついて歩く真紘。
〇寝室(夕方)
真紘「天蓋付き!初めて見ました」
ちょっと興奮気味の真紘と青ざめている公子。
真紘「社長の趣味ですか?意外ですね。公子さんはずっとこんなベッドでお過ごしだったんですか?」
公子「普通のベッドよ!」
公子(こんな物買うなんて――しかも、この家これしかベッド置いてないじゃない!)
ベッドに腰掛ける真紘。
そのまま横になり、自分の隣をポンポンと叩く。
真紘「一緒にどうです?寝心地いいですよ」
公子「お断りします!」
赤くなりならが寝室を出ていく公子。
真紘はウブな反応が可愛くて仕方がない様子で、笑いながら後ろ姿を見送っている。
○リビング(夕方)
公子(最悪だ……まさかここまで急速にコトが進むなんて)
リビングのテーブルで頭を抱えている公子。
その前に、真紘が紅茶のティーカップを置く。
真紘「そう思い詰めないでくださいよ。公子さんの嫌がることはしませんから」
紅茶の香りに公子の表情が和らぐが、すぐに真紘を睨む。
公子「結婚は嫌がることじゃないんですか?」
真紘「おや、お嫌でしたか?ご自身で婚姻届にサインされたと思いましたが」
公子「脅迫されてね」
真紘「どこに脅迫がありましたか?意に沿わぬ結婚と言うのなら、いつでも離婚に応じますよ」
ひらりと紅茶の隣に白紙の離婚届が出される。
ぐぬぬと悔しそうな顔をする公子。
公子(お祖父様の援助は欲しい――)
(奨学金とかバイトとか、自力でどうにかする術がないわけじゃない。でも)
(好きなだけ夢に邁進できる今の環境は手放し難い)
離婚届ではなく紅茶を手に取り、一気に飲み干す公子。
公子「そうよ!私が望んだ結婚よ」
ティーカップを机に叩きつけるように置き、声高らかに言う。
公子(これだけ恩着せられて、お祖父様の駒にされるのはわかりきってたことじゃない)
(思ったより早く政略結婚が来ただけよ)
自分を納得させ真っ直ぐに真紘を見つめる公子に、真紘は満足そうににっこり笑う。
真紘「では、両性の合意の基の結婚ということで、お祝いしましょうか」
キッチンの方から何かを持ってくる真紘。
花嫁花婿のマジパンが乗った、小さなウエディングケーキだった。
真紘「ケーキ入刀します?」
公子「しません!」
ナイフを手に真紘が問うが即答する公子。
真紘「じゃあ、先に食事にしましょうか。ここでシェフ並みの腕前でも披露出来れば格好がつくんですが、残念ながらお惣菜です」
とはいうものの、盛り付けにセンスを感じる料理がテーブルに並ぶ。
真紘「ノンアルコールですので、ご安心を」
ポン、とノンアルコールシャンパンの栓を抜きグラスに注ぐ真紘。
流れるような動きに見惚れてしまう公子。
真紘「僕と食事を共にするのも、お嫌ですか?」
公子「料理に罪はありませんから」
姿勢を正し、食事する意思を見せる公子。
真紘「それはよかった」
真紘はにっこりと笑うと、公子の向かいの席に座る。
真紘「僕たちの結婚と、公子さんの合格を祝して」
乾杯する真紘に、公子は固い表情ながらも応じる。
真紘「噂には聞いていましたが、公子さんは本当に優秀なんですね」
公子「お金と時間を勉強に全振りしただけよ。そのお陰で、こんなことになったわけだけど」
真紘「なるべく不利益は被らせませんから。今まで通り家事は全て家政婦さんが通いでしてくださいますし、主婦業を課す気はありません。これまで通り勉学に励んでください」
公子「その代わり、夜の相手はしろと?」
公子の言葉に、シャンパンを口にしていた真紘が噴出しかける。
真紘「失礼」
汚れた口元を拭いて、仕切りなおす真紘。
真紘「社長には申し訳ないですが、僕は弁護士ですからね。法に触れるようなことは出来かねます。夫婦間であっても、同意なき性行為は犯罪です」
公子「そうなの?」
真紘「もちろんです。寝室は公子さんが使ってください。僕はソファーで寝ますから」
真面目な顔をして頷く真紘。
真紘「僕としては、なるべく公子さんの生活を邪魔する気はないんですよ。名前も公子さんは蓬莱のままですし、結婚したことなどいくらでも隠し通せます」
公子「本田公子になってないの?」
真紘「そちらも凄く魅力的ではありますが、婚姻届けは妻の姓の方にチェック入ってます。僕が蓬莱真紘です」
公子「画数多くて大変そうね」
真紘「確かに。公子さんの名前は、苗字とバランスの取れたいいお名前ですね」
公子「ありがとう。お父様がつけてくれた名前なの」
少し朗らかな空気が二人の間に流れる。
公子(天国のお父さんとお母さん……今のこの状況どう思ってるんだろう。お父さんとお母さん、お祖父様の反対押し切って結婚したぐらいだし、お祖父様のこと呪い殺さなきゃいいんだけど)
小さくため息をつく公子。
公子「男児を産めってことは、結局お祖父様が欲しいのは蓬莱グループの跡継ぎでしょうから、婿入りも当然か」
顔を上げて、真紘を真っ直ぐに見る公子。
公子「本田さんが欲しいのは、財産?」
ストレートな物言いに、真紘は苦笑いをする。
真紘「手厳しいなぁ。僕が欲しいのは公子さんの心だって言ったら、信じます?」
公子「信じない」
即答する公子。
真紘「姓も一緒になったことですし、本田ではなく『真紘』とお呼びください。公子さん」
真紘にまっすぐに見つめられ、少したじろぐ公子。
公子「真紘……さん」
真紘「はい、なんでしょう?」
公子「試しに呼んでみただけよ!」
真紘「ありがとうございます。公子さんに呼んでもらえると、自分の名前が一層特別なものに感じられますね」
優しく微笑む真紘から気持ちをそらすように、食事を口に運ぶ公子。
公子(なんか、調子狂う……)
〇リビング(夜)
真紘「お先にすみません」
シャワーを浴びてきた真紘がリビングに戻ってくる。
上半身裸で眼鏡を外しており、髪はまだ濡れており肩にタオルをかけている。
昼間とは違う雰囲気に、ドキッとする公子。
公子「早く乾かさないと、風邪ひきますよ」
真紘「ありがとうございます。心配してくれるんですね」
そっぽを向きながら言う公子に、真紘は目を細めて変な顔をしている。
公子「……見えてます?」
真紘「見えてないです」
眼鏡をかけていないため視界が悪く、そのせいで目つきが悪くなってしまっている真紘。
公子「よっぽど悪いんですね」
真紘「ええ、0.1ないので」
応えながら、公子との距離を詰める真紘。
真紘「ああ、これでようやく――――ピントが合った」
公子に顔を寄せて真紘は笑うが、ほぼキスでもしそうな距離に公子は赤くなって硬直している。
真紘「キスしてもいいですか?」
見透かしたように笑う真紘を、公子は突き飛ばす。
公子「ダメです!」
公子は洗面所へ逃げていく。
それを見送った真紘は、タオルで顔を覆う。
その顔は、公子に負けないぐらい赤くなっている。
真紘「どうやって、理性持たせたらいいんでしょうね……」