【シナリオ版】セーラー服を脱ぐ前に〜脅迫されて 溺愛されて〜【小説版連載開始につき更新停止しています】
第五話
○駐車場(薄暗い)
ヘッドライトをつけた車が走り出そうとしている。
公子「待ってください!」
その前に飛び出し、ボンネットを押さえるように立ち塞がる公子。
運転手「なにやってんだ! 危ねぇだろうが!」
厳つい運転手が運転手から怒鳴ってくるが、公子は怯まない。
公子「車を出さないでください!」
運転席に回り、運転手に訴えかける公子。
公子の訴えに、運転手は怪訝な顔をしている。
真紘「公子さん!」
追いついてきた真紘が公子の腕をつかむ。
真紘「車の前に飛び出すなんて、なにを考えているんですか!」
両肩をつかんで公子を自分の方を向かせ、蒼い顔で叱り飛ばす真紘。
真紘「申し訳ございません」
運転手にも謝罪する真紘。
運転手「ちゃんと見張っとけよな」
舌打ちして再びハンドルを握る運転手。
慌てて公子はまた車の前に回る。
運転手「おまえなぁ!」
真紘「公子さん!」
注意されるが公子はどかない。
公子「車を出さないでください! 猫が――猫がいるんです!」
必死に訴えかける公子。
○駐車場(夜)
真紘「確かに――いますね」
スマホのライトで照らしながら、車の下を覗き込む真紘。
車の下で猫が丸くなっているのが見える。
真紘「向こうに逃げるかもしれませんので、構えといてください」
公子「はい!」
反対側に回りしゃがみ込む公子。
真紘「いきますよ!」
可能な限り車体の下に体を潜り込ませ、猫に向かって手を伸ばす。
真紘に驚いた猫が、公子のいる方に逃げ出して行った。
出てきた猫に飛びつき、抱き上げる公子。
公子「捕まえた!」
○駐車場(夜)
運転手「ありがとうな、姉ちゃん! 目覚めの悪い思いをするとこだったよ。助かった!」
車を発車させる運転手。
公子は猫を抱き抱え、真紘と見送る。
飼い主「みぃちゃーん!」
飼い主らしき女性が猫の名前を呼びながら走り回っているのが聞こえてくる。
顔を見合わせる真紘と公子。
飼い主「ありがとうございます! ありがとうございます!」
猫を抱いた飼い主が何度も頭を下げる。
何度も振り返り頭を下げながら、飼い主と猫が帰っていくのを見送る真紘と公子。
公子「あの子が轢かれなくて本当によかった」
ほっと見送る公子の後ろで、真紘は真剣な顔をしている。
真紘「公子さん」
公子「はい?」
真紘に呼ばれて振り返ると、抱きしめられる。
真紘「無事でよかった――」
ほっと息を吐く真紘。
公子を強く抱きしめ、頬を寄せる。
公子は驚いてすぐに反応出来ないでいる。
真紘「本当に貴女は無茶ばかりする」
公子「やめてください! 今度は本当にむしりますよ!」
真紘の体を押し返そうとするが、真紘の方が力が強い。
真紘「後でいくらでもむしってくださって構いませんから――今はもうしばらく、こうさせてください」
真紘の腕の中で大人しくなる公子。
頬を染めて、真紘に身を委ねる。
○高校・学食(昼休み)
花織「それで公子さん、昨日の殿方とはどうなってらっしゃるの?」
フレンチのレストランのような学食で、フルコースのような昼食を摂りながら、公子の向かいから花織が目を輝かせて聞いてくる。
ぎくっとした表情で、食べていた手が止まる公子。
公子「お祖父様の顧問弁護士事務所の方でして……懇意にさせていただいてます」
脳裏に過ぎる、駐車場で告白をしてくる真紘の姿と、抱きしめられたシーン。
公子(猫ちゃんが車の下に入ってったのが見えてそれどころじゃなかったけど)
(あれって……)
赤くなる公子に、花織の笑顔がより輝く。
花織「やっぱりそうだったんですね!」
「お見合い、心配になってしまいますわよね」
「でも、公子さんなら障害をものともせず、真実の愛を貫けると思いますわ」
うっとりとした様子で話す花織に、公子は赤くなったまま肩をすくめる。
○廊下(朝)
真紘「そうだ、公子さん」
玄関先で靴を履いていたスーツ姿の真紘が、通りかかったセーラー服姿の公子を呼び止める。
真紘「今日は帰宅が遅くなるので、先に食べて寝ていておいてくださいね」
真紘の優しい言葉にきょとんとした顔をする公子。
公子「なんで私が食べず寝ずで、帰りを待つ可能性があると思ったんですか?」
真紘はこんなやり取りも楽しそうに笑っている。
真紘「いってきます」
公子「いってらっしゃい」
玄関から出て行く真紘を見送る公子。
○公子自室(夜)
机に向かって勉強している公子。
辞書を片手に英語の専門書を読み、ノートに書き写している。
手を止めて時計を見ると、八時を回ってる。
公子(もうこんな時間か)
椅子に座ったまま伸びをする。
公子(まだ途中だけど、待ってたと思われるのもしゃくだし食べよ)
辞書を閉じると、公子は立ち上がる。
○廊下(夜)
廊下をリビングに向かっていると、真紘の書斎の扉が少し開いているのに気がつく。
書斎をのぞく公子。
○書斎(夜)
明かりをつけると、壁一面に本棚がある。その前には机があり、パソコンが置かれていた。
足を踏み入れた公子は、その本棚を眺める。
仕事関係の本ばかり。
その中に、分厚い六法全書を見つけて手に取る公子。
重たくて公子は机の上に置き、そこで広げる。
公子(これを丸暗記……)
ページを開くとびっしりと細かい文字が並んでいるのを見て、感心する公子。
公子(とても真似出来ないわ)
本棚に戻そうとすると、隣にも同じサイズの本にも六法全書と書かれているのに気がつく。六法全書は上下巻だった。思った倍の量だったことに気がつき、真紘の記憶力に目を丸くする公子だった。
○キッチン(夜)
冷蔵庫を開ける公子。
家政婦が作り置いた食事が入っている。
食事を取り出していると、ドアポケットにシャンパンストッパーで封をされた飲みかけのシャンパンがあるのに気がつく公子。
先日の、ノンアルコールシャンパンの栓を抜く真紘の姿が公子の脳裏に過ぎる。
ボトルのデザインはそれによく似ていた。
公子(まだ残ってたんだ)
手に取る公子。
○玄関(深夜)
疲れた様子の真紘が帰宅してくる。
ネクタイを緩めながら靴を脱ぎ廊下を見ると、リビングの扉から明かりが漏れている。
まだ公子が起きているのかと微笑む真紘。
○リビング(深夜)
明かりのついたリビングに入る。
真紘の立っている位置から見ると、ソファーが背もたれを向けて置かれている。
リビングに人影はない。
不思議に思いながら進んでいくと、ソファーの前に置かれたテーブルに食べ終わった食器と、空のグラスとシャンパンボトルがあるのが見えた。
真紘がシャンパンボトルを手に取る。
ラベルデザインに埋もれてわかり辛いが、ラベルの下部には小さく12%volと書かれている。
真紘がソファーに目をやると、公子が仰向けに寝転がっていた。
入り口からは、背もたれの影になって見えてなかった。
公子は眠っている。
頬を染め、服は乱れ、太ももや胸元が見えそうになっている。
真紘はソファーの背もたれに左手を置くと、公子に手を伸ばした。
ヘッドライトをつけた車が走り出そうとしている。
公子「待ってください!」
その前に飛び出し、ボンネットを押さえるように立ち塞がる公子。
運転手「なにやってんだ! 危ねぇだろうが!」
厳つい運転手が運転手から怒鳴ってくるが、公子は怯まない。
公子「車を出さないでください!」
運転席に回り、運転手に訴えかける公子。
公子の訴えに、運転手は怪訝な顔をしている。
真紘「公子さん!」
追いついてきた真紘が公子の腕をつかむ。
真紘「車の前に飛び出すなんて、なにを考えているんですか!」
両肩をつかんで公子を自分の方を向かせ、蒼い顔で叱り飛ばす真紘。
真紘「申し訳ございません」
運転手にも謝罪する真紘。
運転手「ちゃんと見張っとけよな」
舌打ちして再びハンドルを握る運転手。
慌てて公子はまた車の前に回る。
運転手「おまえなぁ!」
真紘「公子さん!」
注意されるが公子はどかない。
公子「車を出さないでください! 猫が――猫がいるんです!」
必死に訴えかける公子。
○駐車場(夜)
真紘「確かに――いますね」
スマホのライトで照らしながら、車の下を覗き込む真紘。
車の下で猫が丸くなっているのが見える。
真紘「向こうに逃げるかもしれませんので、構えといてください」
公子「はい!」
反対側に回りしゃがみ込む公子。
真紘「いきますよ!」
可能な限り車体の下に体を潜り込ませ、猫に向かって手を伸ばす。
真紘に驚いた猫が、公子のいる方に逃げ出して行った。
出てきた猫に飛びつき、抱き上げる公子。
公子「捕まえた!」
○駐車場(夜)
運転手「ありがとうな、姉ちゃん! 目覚めの悪い思いをするとこだったよ。助かった!」
車を発車させる運転手。
公子は猫を抱き抱え、真紘と見送る。
飼い主「みぃちゃーん!」
飼い主らしき女性が猫の名前を呼びながら走り回っているのが聞こえてくる。
顔を見合わせる真紘と公子。
飼い主「ありがとうございます! ありがとうございます!」
猫を抱いた飼い主が何度も頭を下げる。
何度も振り返り頭を下げながら、飼い主と猫が帰っていくのを見送る真紘と公子。
公子「あの子が轢かれなくて本当によかった」
ほっと見送る公子の後ろで、真紘は真剣な顔をしている。
真紘「公子さん」
公子「はい?」
真紘に呼ばれて振り返ると、抱きしめられる。
真紘「無事でよかった――」
ほっと息を吐く真紘。
公子を強く抱きしめ、頬を寄せる。
公子は驚いてすぐに反応出来ないでいる。
真紘「本当に貴女は無茶ばかりする」
公子「やめてください! 今度は本当にむしりますよ!」
真紘の体を押し返そうとするが、真紘の方が力が強い。
真紘「後でいくらでもむしってくださって構いませんから――今はもうしばらく、こうさせてください」
真紘の腕の中で大人しくなる公子。
頬を染めて、真紘に身を委ねる。
○高校・学食(昼休み)
花織「それで公子さん、昨日の殿方とはどうなってらっしゃるの?」
フレンチのレストランのような学食で、フルコースのような昼食を摂りながら、公子の向かいから花織が目を輝かせて聞いてくる。
ぎくっとした表情で、食べていた手が止まる公子。
公子「お祖父様の顧問弁護士事務所の方でして……懇意にさせていただいてます」
脳裏に過ぎる、駐車場で告白をしてくる真紘の姿と、抱きしめられたシーン。
公子(猫ちゃんが車の下に入ってったのが見えてそれどころじゃなかったけど)
(あれって……)
赤くなる公子に、花織の笑顔がより輝く。
花織「やっぱりそうだったんですね!」
「お見合い、心配になってしまいますわよね」
「でも、公子さんなら障害をものともせず、真実の愛を貫けると思いますわ」
うっとりとした様子で話す花織に、公子は赤くなったまま肩をすくめる。
○廊下(朝)
真紘「そうだ、公子さん」
玄関先で靴を履いていたスーツ姿の真紘が、通りかかったセーラー服姿の公子を呼び止める。
真紘「今日は帰宅が遅くなるので、先に食べて寝ていておいてくださいね」
真紘の優しい言葉にきょとんとした顔をする公子。
公子「なんで私が食べず寝ずで、帰りを待つ可能性があると思ったんですか?」
真紘はこんなやり取りも楽しそうに笑っている。
真紘「いってきます」
公子「いってらっしゃい」
玄関から出て行く真紘を見送る公子。
○公子自室(夜)
机に向かって勉強している公子。
辞書を片手に英語の専門書を読み、ノートに書き写している。
手を止めて時計を見ると、八時を回ってる。
公子(もうこんな時間か)
椅子に座ったまま伸びをする。
公子(まだ途中だけど、待ってたと思われるのもしゃくだし食べよ)
辞書を閉じると、公子は立ち上がる。
○廊下(夜)
廊下をリビングに向かっていると、真紘の書斎の扉が少し開いているのに気がつく。
書斎をのぞく公子。
○書斎(夜)
明かりをつけると、壁一面に本棚がある。その前には机があり、パソコンが置かれていた。
足を踏み入れた公子は、その本棚を眺める。
仕事関係の本ばかり。
その中に、分厚い六法全書を見つけて手に取る公子。
重たくて公子は机の上に置き、そこで広げる。
公子(これを丸暗記……)
ページを開くとびっしりと細かい文字が並んでいるのを見て、感心する公子。
公子(とても真似出来ないわ)
本棚に戻そうとすると、隣にも同じサイズの本にも六法全書と書かれているのに気がつく。六法全書は上下巻だった。思った倍の量だったことに気がつき、真紘の記憶力に目を丸くする公子だった。
○キッチン(夜)
冷蔵庫を開ける公子。
家政婦が作り置いた食事が入っている。
食事を取り出していると、ドアポケットにシャンパンストッパーで封をされた飲みかけのシャンパンがあるのに気がつく公子。
先日の、ノンアルコールシャンパンの栓を抜く真紘の姿が公子の脳裏に過ぎる。
ボトルのデザインはそれによく似ていた。
公子(まだ残ってたんだ)
手に取る公子。
○玄関(深夜)
疲れた様子の真紘が帰宅してくる。
ネクタイを緩めながら靴を脱ぎ廊下を見ると、リビングの扉から明かりが漏れている。
まだ公子が起きているのかと微笑む真紘。
○リビング(深夜)
明かりのついたリビングに入る。
真紘の立っている位置から見ると、ソファーが背もたれを向けて置かれている。
リビングに人影はない。
不思議に思いながら進んでいくと、ソファーの前に置かれたテーブルに食べ終わった食器と、空のグラスとシャンパンボトルがあるのが見えた。
真紘がシャンパンボトルを手に取る。
ラベルデザインに埋もれてわかり辛いが、ラベルの下部には小さく12%volと書かれている。
真紘がソファーに目をやると、公子が仰向けに寝転がっていた。
入り口からは、背もたれの影になって見えてなかった。
公子は眠っている。
頬を染め、服は乱れ、太ももや胸元が見えそうになっている。
真紘はソファーの背もたれに左手を置くと、公子に手を伸ばした。