週末だけ犬になる俺を、ポーカーフェイスな妻が溺愛してくる
 久しぶりの身体接触は喜ぶべきことだが、ウォーレンは焦っていた。

――ああっ! やめてくれ! 俺はさっき本能に従って、庭の土を掘ってしまったのだ! カレンの美しい手が汚れてしまう!

 ウォーレンはバタバタしてカレンの手から逃れる。

「ああっ、逃げちゃったわ。そういえば、ワンちゃんは肉球を触られるのが好きじゃないって、昔誰かに聞いたことがあったわね。私ったら、ぜんぜん配慮ができていなかった。ごめんなさいね……」

 カレンはシュンとした顔でウォーレンに謝った。本当に反省しているらしく、心なしか眼がうるうるしている。あまりに健気な姿に、ウォーレンの心臓がずくりと痛んだ。

――そんな顔をするでない! お前の手が汚れなければ、いくらでも触ってくれて良いのだ! ほら、頭! 頭であれば撫でてもいくらでも良いから!

 ウォーレンは自らカレンの手の下に潜りこみ、濡れた鼻の先でカレンの手をつついた。カレンは目を見開く。

「ま、まあ! 頭なら撫でて良いってことかしら……? なんて賢いワンちゃんなの! えらいでちゅねぇ~」
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