週末だけ犬になる俺を、ポーカーフェイスな妻が溺愛してくる
 ウォーレンがじっとカレンを見つめると、カレンは「なにかしら」と、眼を細めて小首をかしげた。よく手入れされたプラチナブロンドの髪が、肩口からさらさらと落ちる。ウォーレンはソワソワと落ち着かない気分になった。

――美しいカレンを前にすると、いつもの俺はどうしても素直に話ができない。しかし、犬の姿であれば、それも若干マシ……。このウォーレン三世、せっかくのチャンスを無駄にはしないッ!

 無駄にキリッとした顔をしたウォーレンは、ふいにもたらされたひとときを存分に楽しむことにした。例え偽りの姿であっても、カレンが自分に向けている笑顔は本物だ。そして、ウォーレンはカレンの笑顔をもっと引き出したい。
 ウォーレンは意を決して地面にごろりと寝転がると、カレンに腹を見せた。皇帝としての尊厳はゼロである。人間の姿なら絶対にできないが、この際カレンの笑顔のほうが大切だ。
 ウォーレンの見込み通り、カレンは目を輝かせた。

「まあ! これは俗に言う、ヘソ天というやつですわよね? ワンちゃんがこの上ないリラックスモードのときに見せるという……!」
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