推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
そして訪れたイベント当日。
待ち合わせ場所にユキちゃんが居るのが見えた。
「ユキちゃん!」
「あ!Reiちゃん!」
明るく私の方に手を振ってくれるユキちゃん。その後ろからフードを被った男の子が恥ずかしそうに顔だけ出していた。
「おまたせ!それとこちらの方は...?」
「私の弟の柊!一緒に来たんだー」
「は、初めまして。柊って言います」
「初めまして!Reiです」
弟が居たコトにも、弟と一緒に来るコトも何も知らなかった為驚いた。しかし優しい目元がユキちゃんととても似ている為姉弟だとよく分かった。
「それと今までReiちゃんの曲を動画にしてるの私って言ってたんだけど、本当は動画作ってるの柊なんだよね!」
「え!?そうなの!?」
いつも曲のデータを送ると、完成された動画の形で返してくれていた。それは全部ユキちゃんがやっていたと思っていたが、弟くんも関わっていたとは知らなかった。
「柊が自分がやってるって言わなくて良いって言ってたから黙ってたんだけど...流石に心苦しくてさ...。今まで黙っててゴメンね?」
「全然大丈夫だよ!」
私は柊くんを見つめる。
「今まで作ってくれてたんだね!ありがとう!」
私の大きな感謝の言葉に柊くんは驚いた顔をした後、視線を横にそらす。
「いえ、僕も楽しかったので...。これからも動画作っていけたら良いなって思ってます」
「そう言ってもらえてスゴく嬉しいよ!本当にありがとう。これからもよろしくね!」
「はい」
私たちの和やかな雰囲気にユキちゃんも笑顔になっていた。
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