推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
数日後、私は完成した歌詞を見せる為にハルカナの事務所に訪れていた。ここまで来ていながら私はこの歌詞を見せて良いのか迷っていた。
そんな中で私が待っている部屋の扉が開いた。現れたのはハルカとカナトの2人だった。
「え、あっ、こんにちわ」
「こんにちわ。待たせてごめんね」
「いえ!全然大丈夫です!」
「相変わらず元気そうだな。じゃあ俺は顔見にきただけだから。またな」
そう言ってハルカは部屋から出ていった。
「あ、すみません。私ハルカに聞きたいコトがあるので、待っててください!」
私はカナトに頭を下げ、ハルカを追いかけて部屋を出た。
「ハルカ!」
「えっ?どうした?」
「あの、聞きたいコトがあって...」
「おう」
後ろを振り向き、カナトが部屋から出ていないのを確認してから、私はハルカに聞く。
「カナトを一言で表すとしたら、なんですか?」
私は真剣な瞳で聞く。ハルカは驚いた顔をした後、少し目を伏せ、私を見る。
「作曲家として聞いてるんだよな?」
「はい」
私の返答を聞くと、ハルカは軽く息を吐き、答えた。
「スーパーヒーロー役」
その言葉を聞き、私は目を閉じる。そして目を開き、優しく微笑む。この歌詞を見せて良いのかという迷いは今消えた。
「ありがとうございます」
ハルカにお礼を告げ、私はカナトが待つ部屋に戻っていった。
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