推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
「すみません。お待たせしました」
「ううん、大丈夫だよ。ハルカに何聞いたの?」
「...秘密です」
ハルカとの会話の内容を話すコトは出来ない。そんな私の思いを感じ取ったのか、カナトはそれ以上何も聞かなかった。
私は静まっている空気の中、意を決して話し出す。
「私はカナトに救われました。初めて会った日から私にとってのヒーローです」
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
カナトの返答を受け取った後、私はバックから1枚の紙と音源が入っているタブレットを取り出して机の上に置く。
「それでは流します」
「うん」
私は音源を流す。カナトは歌詞の紙を手に取り、じっくりと見つめる。

「...そっか...。Reiさんには伝わっちゃったんだね...」
小さく、小さく、カナトはそう呟いた。
カナトはいつもとは違う切ない笑顔を浮かべていた。
そんな顔をされるだろうと思った。
それでも私は書きたかった。カナトの心の奥の部分を...。
私は自分が書いた歌詞を頭に思い浮かべる。
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