推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
「で、どうして遊園地?」
ハルカが打ち合わせの場所として指定してきたのはお客さんもまばらな小さな遊園地だった。身バレ防止の為のマスクにより目元しか見えないハルカに私は尋ねる。
「昔家族とこの遊園地に行ったなぁって思い出してさ。またいきてぇなーって思ったんだよ」
ハルカはスゴく優しい瞳をしていた。昔を懐かしんでいるのだろうか。
「今日曲の打ち合わせするって分かってます?」
「あぁ、分かってるよ。でも事務所の椅子に座って真面目に話すより、こういう所で楽に話せた方がお互いに良いんじゃねぇかなって思ってさ」
確かに堅苦しい所で話すよりも、気軽に話せた方が嬉しい。遊園地での打ち合わせはハルカの気遣いなのだと思った。
「とりあえずなんか乗ろうぜ。ジェットコースターとか乗れる?」
これはもう遊園地を楽しむ流れだ。
「はい!好きです!」
私は元気に返事をして、今からの時間を楽しもうと思った。
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