推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
「げ、限界...」
そう言いながら私はベンチに座り込む。
私たちは人が少ないコトを良いコトにジェットコースターに何回も乗ったりと色々なアトラクションを楽しみ続けた。
私は体力がなくなり疲れ切っているが、ハルカは余裕の表情をしていた。
「体力ねぇなー。そんなんじゃアイドルできねぇぞ?」
「私...アイドルじゃないし...」
「ハハッそりゃそうだ。カナトのファンなんだもんな。それが今となっては...」
ハルカは小さくそう呟いた後、真剣な瞳になった。しかしすぐにいつもの笑顔に戻り、私に話しかける。
「そろそろ曲について話すか」
ハルカは私の隣に座り、一息つく。
「ハルカはどんなソロ曲にしたい?」
「...これからもアイドルで居続けるよって伝えられる曲にしたい」
「アイドルで居続ける...」
「あぁ。今ファンで居てくれてる人も生きてれば色んなコトが変わっていくと思う。でも俺は変わらずにアイドルとして居続けるって伝えたいんだ」
ハルカは青空を見上げながら想いを口にする。その瞳は優しさに満ちていた。
「俺は皆にとっての帰る場所になりたい」
ハルカがこんな風にアイドルとしての想いを語ったコトは今までなかった。これをファン皆に伝えたいと思った。
「ハルカはどうしてアイドルになろうと思ったの?」
そう言うとハルカは少し瞳を開いた。しかし私にはその表情が何を意味しているかは分からなかった。
「...なぁ、俺行きたい場所があるんだ。行っても良い?」
「え、うん」
ハルカの急な提案により私達は遊園地から出る。私はハルカのあとをついていった。
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