ギター弾きの天使とデュエットを 両想いのその後 甘々番外編
 そして、一年後。


「悠輝」

 とうとうチャコからその合図を口にした。自分から求めても大丈夫だと思えるくらい、二人の間には確かな信頼関係が築かれていた。


「っ。初めてだな。千夜子から名前で呼んでくれるの。ははっ。心臓壊れそうだわ。マジで嬉しい。いっぱい触れ合おうか」
「うん」


 愛を囁き合い、見つめ合い、口づけ合い、抱きしめ合う。大好きな人との触れ合いでチャコはすっかり蕩けてしまった。前はあんなに恥ずかしかったはずなのに、ジャンに身も心も捧げるのが心地よくてたまらない。チャコはもうすっかりジャンの愛にほだされて、自分からも甘えられるようになっていた。


「悠輝。もっと。もっとくっつきたい」
「うん……直接しようか」
「……うん」
「千夜子、バンザイ」


 肌を見せるのはまだ恥ずかしいが、それでも抵抗せず受け入れられるくらいにはなった。


「ん。いい子。腰上げて?」


 すべてを晒せば、やはり恥ずかしくてたまらない。それでも、チャコはもう直接触れ合う心地よさも知っているから、恥ずかしさだけではなく期待で胸を高鳴らせてしまう。


「千夜子。大丈夫だよ。恥ずかしくなってもいいからな。ドキドキしてもいい。でも、千夜子の気持ちだけは隠さないで?」
「うん。悠輝、好き」
「俺も好きだよ。千夜子」


 正面からきゅっと抱きしめられた。触れ合う素肌が気持ちいい。


「悠輝、背中撫でて?」
「いいよ。かわいいな、千夜子。かわいい。好きなだけ甘えていいからな」


 そうやって優しく言われると勝手に甘えた声が漏れてしまう。


「悠輝」
「うん? 背中気持ちいい?」
「気持ちいい。もっとして?」
「いいよ。飽きるまでしてやる」


 こうなるともう好きが溢れて溢れて止まらない。勝手に言葉がこぼれ落ちてくる。


「悠輝。好き、好きなの。大好き」
「俺も千夜子が好きだよ」
「悠輝、もっと触って?」
「いいよ。ははっ、千夜子甘えるの上手になったな。すげー嬉しい。もっと甘えていいからな」


 こうやってぐずぐずに甘やかされるから、チャコはどんどん心を開いていってしまう。元来素直なチャコだから、恥ずかしさにさえ耐えられるようになれば、人一倍甘えるのも上手くなった。


 そうして究極の甘え上手になったチャコが、ジャンを日々翻弄するようになるのはもう少し先のお話。
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