ギター弾きの天使とデュエットを 両想いのその後 甘々番外編
 約一ヶ月後。ジャンに連れられてやってきたのは、チャコが想像していたプールとは随分とかけ離れた場所だった。


「え? え、ここ? 本当にここ?」
「ここで合ってる」


 どう見ても高級そうな宿泊施設だ。こんなところにあんな賑わう施設があるようには見えない。だが、ジャンは構わず進んでいく。そうしてやってきたのは本当に高級感溢れる宿泊部屋だった。チャコが戸惑っているとジャンが外を指さして教えてくれた。


「ほら、プールあるだろ?」
「え……」


 外を見ると確かにプールがある。この部屋専用のプールみたいだ。


「プライベートプールだから周りは気にせず満喫できるぞ。今日はこのままここに泊まろうな」
「えー……そんなの聞いてない……」


 確かになぜか泊りの用意をしておくように言われていたが、これはまったく想像していなかった。あまりにも予想外すぎて呆然としてしまう。


「ここじゃ嫌か?」
「嫌じゃないけど、でもこんな贅沢なとこじゃなくてよかったのに」
「あのな、俺がお前の水着姿を他のやつに見せるわけないだろ?」


 ジャンはこうやってしばしば独占欲をあらわにする。強く想われているのがわかって嬉しい気持ちにはなるが、それを直接見せつけられると鼓動が速くなって苦しくもなるのだ。


「……もう、またそうやってドキドキさせる」


 チャコのその呟きはジャンの耳には届かずそっと消えていった。


「二人でプール満喫するのもいいだろ?」
「……うん。ジャン、ありがとう。嬉しい」


 贅沢すぎる気はするが、ジャンの言う通り二人きりで楽しむのも素敵だなと思って、チャコは素直に礼を述べた。そんなチャコにジャンは優しく触れてくる。そっと頭を撫でられれば、微笑まずにはいられなかった。

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