darkness


夢の中で握っていた母の手の感触が、まだ手のひらに残っている。




私はこれが単なる夢だとは思えなくて

亡き母と触れ合えた瞬間だと感じた。





また涙が止まらなくなった。




窓から、外が明るいのが見えて

朝なのだと気付く。





私の泣き声を聞き、慌てて綾子おばさんが部屋に入ってきた。




「あさ美ちゃん?どうしたの!?」





私は布団から身体を起こすと、手のひらのぬくもりを握りしめながらおばさんに抱きついた。





「どうした??怖い夢でも見た?」


まるで小さい子がママに泣きつくように

私はおばさんの胸で泣いた。





『…お母さんの…っ夢みたの………』





お母さん



お母さん






会いに来てくれて





ありがとう。




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