darkness
鼻をすすりながら、まだ顔を赤くして
食卓に座る。
夢の余韻を感じながら
ひたすらに食パンをかじる。
おばさんは私の向かいに座り、
私が朝食をとるのを、微笑んで見ていた。
「きっと、姉ちゃんはあさ美ちゃんに会いにきたのね。」
私が夢の一部始終を話すと、おばさんは何度も
うんうん、と頷いてくれた。
内気な私に戻りかけていたのを、母が夢に出てきてくれたことで
戻ってはいけないと気付かせてくれた気がした。
過去がなんだ。
昔の私がなんだ。
絵里がいるからって
私は私に変わりない。
私は母から生まれて、
母に育てられた。
私は母に守られていたのだから、
私のままでいればいい。
窮屈な高校生活など、
無理して応じることはないと母が教えてくれた気がした。
少し心強い気持ちで、
高校へ向かった。