darkness


私が絵里の手から携帯を取り返そうとすると絵里はそれを離そうとはしなかった。


バチッ……………







悲しい音を立てて、裕平くんからもらったストラップが切れた。


床にビーズが広がり落ちてゆく。






私の…………宝物が………

絵里は衝撃を受けた私の表情を見て面白がった。

「顔…最高〜。はい、返してあげる。」






床に落とされた携帯を拾い、大事に握りしめる。


まるで私と裕平くんを繋げる糸が切れたみたいに、それは無惨にちぎれていた。








その時、


「大丈夫か?」





近づいてきた上履きを見上げると





そこには陸が立っていて手を差し伸べていた。






「あさ美、もう一人で戦うな。大丈夫だ。」






たまたま廊下を通りかかったのか、

心配して私のクラスを見にきていたのか、





陸は私の肩を優しく抱えて私を立たせた。





< 138 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop