darkness
第8章
貫け
「あさ美…!!!あさ美!!!俺だよ、わかるか?」
“あの世”とはこんなにも明るい場所なのか。
瞳を開いた時、そう思ったのは私の勘違いのようだった。
手に温かいものを感じ、ふと隣を見ると、
陸が涙ぐみながら私の手を握っていた。
私…………………生きてる。
「よかったあ……本当によかったあ!」
陸は何度もそう言って、私が生きていたことに涙している。
「頭を強く打って、本当に危険な状態だったんだ…。」
陸は静かな声でそう話す。
落下した場所が芝生だったこともあり、私は非常に危険な状態から奇跡的に助かったらしい。
私は
母の元へは行けなかった。
後頭部に強い痛みが走り私はただ天井を見つめていた。
「あさ美……。もう二度とこんな真似するなよ。」
陸の真っ黒な瞳から一粒の涙が光り、落ちた。