darkness
行き道、陸は私が少しでも普通で居られるように気を遣って
昨日観たお笑い番組の話や、朝のニュースの占いの話などを
ひたすら、おもしろおかしく話していた。
「大丈夫。」
教室に入る前、陸はそう言って私の背中を軽く押した。
あの緩んだ笑顔で。
『…うん……』
「あさ美、屋上から飛ぶ勇気あったんならもう他に何も怖いもんなんてねーだろ?」
クスクス笑いながら言った、その陸の言葉。
陸はいつも真剣なことを楽しい言葉に変えて
私が過去にとらわれないように魔法をかける。
陸のおかげで気持ちが楽になった私は
意を決して教室へ入った。