darkness
「自分の夢を追うためにね。」
そう言って微笑んだ裕平くんを見て私はなんとなく全てを察した。
『…もしかして……』
「立花建設は継がない。俺は家を出て、教育大を受けるつもりなんだ。自分の力で教師を目指そうと思う。」
『…まじ………!?』
「まじ。」
ずっと親が決めた道を歩いてきた裕平くんは
初めてレールから外れた新たな道を歩き出そうとしている。
『両親は何も言わなかったの…?』
「最初反対されたけど、今はちゃんと分かってくれたよ。
だから今日は引っ越す前に最後にって思ってここに来たんだ。2人に会えて良かったよ。」
裕平くんの笑顔は、もう何の期待も背負いこんでいない軽やかなオーラを出していた。
「引っ越すって言っても同じ県内だけどね。ここからは少し遠いけど。」
そう付け足した裕平くん。
私は一つだけ聞いておきたいことがあった。