darkness
『…あの………立花家を出るってことは…絵里との婚約は………?』
私が一番聞きたかったことだと、陸は気づいたかもしれない。
「彼女とは別れたよ。元々親同士の関係で付き合ってたし…。」
絵里と別れたんだ。
学校でも一人になった絵里はもっと孤独な思いをしているのかもしれない。
あの時、絵里のことが理由で私は裕平くんを諦めたのに
なんで私
絵里のこと心配してるんだろう。
モヤモヤした気持ちを抑えながら話に気を戻す。
「決められた生活を捨て切れなかった俺がここまで決心できたのは、あさ美ちゃんのおかげだよ。」
『私の??』
「あさ美ちゃんの勉強を教えてから、やっぱり夢を追いたいって思ったんだ。ありがとう。」
『そんな………私は教えてもらってただけだから。』
私は裕平くんの話に驚きながら時折陸の顔を見た。
なぜか陸が変な心配をしてしまわないか気になって。
でも陸は一緒になって裕平くんの話を聞き、目が合うたびに笑ってくれた。