darkness
裕平くんはそれから少し話した後、
「またいつかね。」
そう言って喫茶店を出て行った。
「なーんか、かっこいい生き方だなあ。」
『だね。』
陸は紅茶を一気に飲み干す。
「大城と別れたらしいし、なんか焦るなあ…俺。」
『なんで?』
陸は笑って俯いた。
「だって………あさ美が前に好きだった人だし。」
もしかして陸………
やきもち?
『ははは。陸、やいてんの?』
「べっ…別にっ。」
陸はもうコップに残っていない紅茶を無理に飲み尽くそうとする。
同様丸出し。
『裕平くんが絵里と別れたって聞いて私の気持ちがまた裕平くんに戻るんじゃないか心配してるんでしょ?』
「だから別にそんなんじゃねーよ。」
慌てて赤くなる陸に私はどれほど愛を感じたことだろう。
『心配しなくても裕平くんのことはとっくに諦めてるし、
今は陸が好きだよ。』
私がそう言って笑うと話を聞いて見ていた綾子おばさんも
にっこりと笑った。