darkness
葬儀は静かに営まれた。
空からは私と一緒に泣いてくれているかのように
小雨が降っている。
葬儀の間、ずっと泣き止むことのなかった私の手を
隣に座る綾子おばさんは優しく包みこんでいた。
私がもっと芯のある人間なら、この悲しみ耐えられただろうか。
いや、
耐えられない。
この悲しみは言葉で表せるものではなく、
耐えられる人はいない。
私は内気で、とにかく怖がりだった。
人と関わることが上手くできない私は
他人から“ぬくもり”や“愛”というものを深く感じた記憶がなかった。
ただ、母からだけは
それを感じることができた。
もう二度と感じることのできない母のぬくもり。愛。
棺の中に花を添える時、ただ母から離れたくなくて声をあげて泣いた。
いかないで
私を一人にしないで
『お母さん!!』
永遠の眠りについた母に
私の声は聞こえないのだろうか。