darkness


「世間ってそんなものなのよ。すごく厳しい。でも、本当のことは他人には分からないでしょ?言いたい人には言わせておけばいいの。」




おばさんの言葉に私は深く頷いた。


おばさんは入ってきた客に注文を聞いた後、また私の方に戻ってきて言った。





「あの子はそんな子じゃないんでしょ…?」



『………あの子?』




「あの……夜……、駆けつけてくれた…」

『ああ、陸?』


「そうそう、陸くん。」




『陸は、幼なじみだからね。良い人だよ。』




おばさんは
「いるじゃない、友達。」と笑って言うと

注いだコーヒーを運びに行った。






ここにいると、

気持ちが落ち着く。


私はコーヒーはあまり飲まないけれど、この店の中に広がるコーヒーの香りが好き。


放課後、ここに来ることは一日の自分へのご褒美みたいなものなのかもしれない。














カランカラン。



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