darkness
その時、店に入ってきたのは
私より少し年上だと思われる綺麗な男子だった。
「綾子さん、こんにちは。」
その人は綾子おばさんに挨拶をすると、私の隣の席を一つ空けてカウンターに座った。
少し細身で、背の高い人。
「裕平くん、久しぶりね。」
「はい。テストとか色々あってなかなか来れませんでした。」
おばさんと親しげに話すその人は笑うとえくぼが際立って見えた。
常連なのかな…?
横顔に見惚れる私。
「あ、この子私の姪っ子のあさ美ちゃん。事情があって今一緒に暮らしてるの。」
おばさんが私をその人に紹介して、私は慌てて頭を下げた。
「初めまして。立花 裕平です。」
とびきりの笑顔で真っ直ぐに見つめられた私は、目を合わすことができない。
『初めま…して…。』
おばさんの方を見ると、おばさんは彼と同じような顔で笑った。