darkness
こんなすごい人が目の前にいるという驚き。
「そうだ!あさ美ちゃんもこれから受験なんだし、裕平くんに勉強教えてもらったら?」
おばさんが突然そんなことを言うから
アイスティーが喉から逆戻りしそうになる。
『………いっ……いいです。』
「俺は別に構わないよ。ちゃんと教えられるか不安だけど。」
裕平くんは笑って答える。
『でも…………大学とか忙しいだろうし…本当にいいですっ!』
「そんな必死に拒まなくても〜。」
おばさんに笑われて、私は赤面した。
2人の言葉に押されて説得させられた私は
入試までの間、裕平くんに勉強を教えてもらうことになってしまった。
今まで、まともに人と関われなかった私が
今日初めて会った人に勉強を教えてもらうなど
上手くやっていけるのだろうか。
でも、おばさんは嬉しそうだった。
きっとおばさんは、
周りと関わることなく殻に閉じ込もる私に
少しでも誰かとの関わりを知ってほしかったのかもしれない。